日本語文法力の低下
日常で様々なな日本語が飛び交っていると思いますが、日本語としてさすがにおかしいのでは?と思うことが増えてきたように思います。
こんなことを言っていること自体自分が年を取った証拠なのかもしれませんが・・・
たとえば
「あした学校あるとかなくない?」
どこかで真剣に議論されたこともある言葉です。
意味はおそらく
「明日学校あるなんてあり得ないと思わない?」
かと思います。
しかし、「なく+ない」は否定に否定を重ねた強調の表現になりえます。
強調で日本語訳すると、「明日学校があるに決まっている?」
強い肯定文でありつつ疑問文になると言った意味不明な言葉になります。
そこで「なく+ない」を「ないこともない」と言う言葉の略式と考えると(これも二重否定です)
「あした学校があることはないこともない?」
となり、「もしかすると、あした学校があるかもしれない?」
と言う意味の日本語になります。
こちらの場合はなんとか意味は取れますが、当初の意味とは全く違ったものになります。
さらに、すごいことに
「あした学校があるなんてなくなくない?」
「あした学校があるなんてなくなくなくない?」
などと言う言葉を発してる人も見かけます。
もう意味不明です。文法的に解析不可能となります。
『そんな日本語あるかー!!!』
なんて思いながらgoogle翻訳にかけてみたところ
すべて
Isn’t there a school tomorrow?
「あした学校ないのですか?」
と訳されます。
先生こまかいです・・・
・・・
まぁ言葉は生き物です、『全然』と言う言葉が近年肯定・否定の両方の意味をとれる言葉に変わったように、この先変わる可能性も【なくない】です。
文脈とか雰囲気で感じろと言われれば、私もちゃんと意味を理解することは出来ます。
常識と文脈と・・・
では、文脈や雰囲気をちゃんと感じ取れるのかと言う問題を出してみましょう。
「あした会議があるので9時10分前に集合してください」
答え
①9時10分に遅れないために10分前行動し、9時に集合する。
②8時50分に集合する。
皆さんの答えはどっちになるでしょうか。
これは口語的な表現で、文法的には
①あした会議があるので9時10分「の」前に集合してください
②あした会議があるので9時「の」10分前に集合してください
の両方取れないこともないです。
ですが一般的には②の「の」部分で一呼吸入りますので、8時50分に集合することが慣用的には正解です。
また、普通会議となどの行事は00分や30分と言ったキリのいい時間に始まるものですので、普通に考えると9時集合はおかしいと思えるのですがどうやら若い人を中心に日本人の20%ほどが①を選択するようです。
ちなみに年配の方は、8割以上の方が8時50分集合と考え、残りの人は9時集合と取れなくもないが常識的に8時50分だろうと考えているようです。
これに対して、中学生は3割程度の生徒が「9時10分まで(10分前行動の意識すらない)」と回答するようです。
えっ
ええっっ??
やれやれ・・・・
文法とロジックと・・・・
自分が年寄りになった感が増してきました。
そのうち「最近の若い者は・・・」とか言いそうです。
特に国際化が進み、英語文法が日本語文法を侵食してきていますので変化はしていくでしょうが、それにしても限度があると思います。
余談ですが、I want to drink a cup of coffee.
コーヒーを目的語として訳すと「私はコーヒーを飲みたい」と訳しそうですが、実は日本語文法では【願望を表す時の助詞は”が”を使う】ので「私はコーヒーが飲みたい」と訳すのが正しい日本語になるそうです。
どっちでもいいじゃん・・
まぁ、私も上の文に関してはどっちでもいいと思います。
では次の文はどうでしょう。
「私はコーヒーを飲む」
「私はコーヒーが飲む」
これは明らかにおかしいですね。
確かに・・・
ですので
「私はコーヒーが飲みたい」
「私はコーヒーを飲む」
と言うのが正しい日本語になります。
上記の例は極端ですが、普段話す時にあまりにも文法を軽視しすぎると、いざ作文を書いたときに読解不能な文章になってしまうことが多々あります。
何年にわたり、高校入試の作文や中学校入試の志望理由書などを添削していますが、特に高校入試の作文は3割以上の生徒さんが明らかな文法ミスをします。
助詞(てにおは)のような細かいところは置いておくとして、普段から接続詞や指示語(代名詞)の使い方には気を付けて欲しいと願います。
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