怒られてのびる?
山本五十六の言葉
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
名将山本五十六が部下を育成する際の方針として掲げていたものです。
これは色々な教育・育成現場で実践されていることですが、なかなか実行することが難しいものでもあります。
全てを実践することは難しいと思いますが、『怒っても成績は伸びない』と言うことは是非肝に銘じておいていただきたいと思います。
今まで様々な生徒を見てきましたが、怒ると言う指導方法で良い結果を生んだ家庭はほとんど見たことがありません。
小学生のうちはそれでもある程度の効果がありますが、怒られることで勉強してきた子供は中学高校と進学していくにつれ、成績が落ちていく傾向にあります。
勉強する子になるかどうかは小学校教育で決まる
褒められなくなると勉強が嫌いになる
幼稚園のころ思い出してみてください、自分の名前が書けただけで褒められます。
足し算が出来ようものなら『うちの子は天才なのではないか?』と思ってしまいます。
そうして何をやっても褒められて来た小学1年生は8割近くの子たちが『勉強が好き』と答えます。
ですが学年が上がるにつれ保護者の要求は上がっていきます。
するとどんどん子供たちは褒められる機会が減っていくことになります。
その結果小学4年生になるころには『勉強が好き』と答える子供は6割半ば程度まで減っていき、小学6年生になるころには5割半ばまで落ちていきます。
4年生から算数難しくなっていくし、漢字もふえましたー
大体このあたりから、勉強苦手な子が増えていきます。
そして学力が明確に数字として表れるようになる中学生になるともっと顕著になります。
このころになると、保護者も子供のことをある程度大人として認識するようになり、『出来て当たり前』と思うようになります。
その結果『勉強が好き』と答える生徒の割合は一気に4割を切ってくるのです。
そしてこの割合は高校3年生まであまり変動しないようです。
小4~小6の対応で大きな差が生まれる
高学年になり、子供たちはなかなか褒めてもらえなくなります。
それでも褒められてうれしくて勉強が楽しかった記憶のある小4~小6までは頑張って勉強しているのでしょう。
ですが、それにも限界があります。
褒められなくなっても3年間頑張った子供たちですが、中学生に上がり一気に勉強が難しくなったところで心が折れるのです。
ちょうどこのころから反抗期が始まることもあり、悪循環を繰り返すことになるようです。
反対に、小6までしっかり褒められて来た子供たちは中学生の壁を乗り越えることが出来ることでしょう。
中学生には特に目標が無い
高校2年生以降は勉強が好きになる生徒が増える
学年が進むにしたがって、勉強が嫌いな子供が増え続けるかと言うと実はそうではないようです。
統計によると高校1年生までは勉強が嫌いな子供の割合は増え続けますが、それ以降は勉強が嫌いな生徒が減っていく傾向にあるのです。
これは、高校生は人生の大きな節目である大学入試に臨んでいることが原因でしょう。
大きな目標があるので、高校2年生あたりから真剣に勉強する生徒が増えていくのです。
人間の脳は負荷がかかるとそれを現象させるために自分をだますことがあります。
受験勉強で過剰な負荷が精神にかかった場合、負荷を減少させるために『勉強が好き』と言う状態に移行するのです。
中学生には目標が無い
ですが、高校受験があるとは言え中学生はまだそこまで受験の重要性を理解することが出来ません。
勉強できなくてもいける高校は沢山ありますし、卒業後の進路まで想像する人生経験が無いためです。
そうなると中学生にとっての目標(ご褒美)は親に褒められること以外には存在しなくなります。
つまり、小6卒業時までにしっかり褒められていない子供たちは中学に上がったときにわざわざ難しい勉強に取り組む理由がなくなってしまうのです。
よく、『うちの子は目標が無い』とか『将来のことを考えていない』とか言われる保護者がおられますが、当たり前だと思います。
そのそも、今ある仕事の6割は機械・AIに置き換えられて無くなっていくと言われている時代です。
明確な目標をもつことなど、一部の天才にしか不可能でしょう。
私はちゃんと生きると言う目標があります。
非常に抽象的ですが、素晴らしいと思います。
最後に
今回更新が遅かったのは、別に忙しかったわけではありません。
かなり重要なトピックだと思ったので、この記事を推敲していたのです。
ご自身の教育の結果、今の子供の姿があります。
私は自分の子供が勉強しない子になってしまったら、全て自分の責任だと思うようにしています。
うちの子はまだ5歳と3歳なので褒めることだらけですが、学年が上がるにつれて私も怒ってしまいそうになることでしょう。
こういった記事を書きながら自分の戒めにしていきたいと思います。
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