大人も間違える算数の問題

塾長ブログ

平均の速さを求めなさい

よいこAは塾に行きは分速60mで行き、帰りは分速40mで帰りました。
平均分速何mで歩いたでしょうか。

分速50m!

どうでしょう?
みなさん分速何mになったでしょうか。

結構分速50mって思った人いるんじゃないでしょうか。
でも答えは分速48mです。

かかった時間が違いますね!

正解!

仮に塾までの距離を480mとしましょう(中学生なら文字を使いますが、小学生なら適当な数字を使います。答えは同じになるので大丈夫です。)。
行は分速60mなので、8分かかっています。
帰りは分速40mなので、12分かかっています。

となると平均の分速の求め方は(480×2)÷20となります。
つまり分速48mとなるわけです。

普段皆さんは問題文に書いてある数字のみを追いかけているはずです。
数字の意味を正確に理解しておかなければこのような問題は解けなくなってしまいます。

ですので、『単位』と言うものをちゃんと理解して覚えることが重要になってくるわけです。

中国の有名な問題

では次に、単位を正確に理解して思い込みや主観を排除した思考が求められる問題を紹介しましょう。
2018年に中国の小学5年生向けに実施された算数の問題です。

ある船に、羊が26頭、ヤギ10頭が乗っています。
この船の船長の年齢は?

なぞなぞ?

算数です。

正解は『解なし』、小学生ならば『わからない』とでも書きましょうか。

問題文に与えられている数字は全て『頭数』と言う単位です、それに対して解答に必要な単位は『歳』となっています。
この二つの単位には互換性が無く、変換も出来ません。
つまり、全く解答に関係ない数字しか与えられていないのです。

ですので、解答不能となり、正解は『解なし(わからない)』となります。

実は過去にも同じ問題がありました

実はこの問題中国のオリジナルではないようです。

1979年にフランスの研究者が、小学1・2年向けに全く同じ問題を出しています。
その時に取ったデーターによると、なんと75%以上の生徒が何も考えず26+10で36歳と言う答えを書いたそうです。

これは結構考えなければいけないデータだと思います。
ほとんどの生徒が、問題文を読まずに数字だけ拾っていると言う思考をしている可能性があるのです。

おそらくここら辺が、中学校に進学したときに一気に数学の点数が下がってしまう原因の一つなのでしょう。
今まで適当に数字を足したり引いたりしていればなんと答えが出ていたものが通用しなくなってくるのです。

もしかしたら非受験の場合、5・6年生くらいからは問題文を音読させたり、書き写したりする訓練が有効かもしれませんね。

珍解答紹介

ネットで調べたらちょっと面白い解答がありましたので、紹介しておきます。

「船長は大人でなければならないので、少なくとも18歳である」

とある小学生の解答

それぞれの動物の平均体重を考慮に入れると、26頭の羊と10頭のヤギの合計重量は7,700kgである。
中国では、5,000kg以上の貨物を運ぶ船を運転する場合、5年間ボート免許を保持し続けなければならない。
ボートの免許を取得できる最低年齢は23歳。
ゆえに船長は少なくとも28歳である。

Weiboより大人の解答

上の小学生はよく考えています。
下の大人のほうは非常に説得力があるように思えます。
おそらく正しいのでしょう。

正解でいいんじゃないですか?

残念ながら不正解です。

なんでー!!!!

これがもし社会科の問題であったら、二つの解答は正解になるかもしれません。
ですが、算数・数学の問題なのです。

算数・数学には彼らが主張するような定理はありません。
算数・数学の定理とは宇宙の真理であり、場所や時間が変わっても不変のものなのです。

彼らは法律的な知識を背景として答えていますが、法律は時代や国によって変わるため数学的には不正解となります。

中国の算数の先生は素晴らしいです。
こういった問題を出すのは勇気がいるでしょう。
見習いたいものです。

ひー

実は今晩東京から大学の後輩が遊びに来ます。
駿台・河合という最大手予備校の現役数学講師です。
なんと、数学オリンピックの講師なんかもやっている本物の変態天才です。
どのくらい変な人かと言うと、彼はこの国で出版された大学入試用の数学問題集はほぼ全てもっています。
(彼の家はトン単位の数学の本で埋め尽くされています、よくファンタジーに出てくるような賢者の隠れ家みたいな家です。)

きっと今晩私は彼に数学でいじめられるので、反撃のネタを探していたら今回のブログのネタになりました。
みんなも算数・数学で遊べるようになると良いですね。

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